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これまで数え切れないほど多くの取材を経験してきました。その中で10年ほど前に行った海外ロケ取材は、その後の私を決定づけるとても重要なものでした。それが後に大学院で知識を得るほど環境問題に関心を持つきっかけとなった取材だったんです。
『地球家族のエコロジー』という特別番組の仕事でアメリカ・デービス市とオランダ・アムステルダム市(注1)を訪ねたのは、1999年と2000年のことです。それぞれの一般家庭を訪ねた私は、当時の日本の常識を遙かに超えたエコライフ的生活スタイルに大きな衝撃を受けました。彼らにとって、地球環境とエコ活動をまじめに考えることはとても当たり前のことで、誰もが地球や子どもの未来のためにエコに取り組んでいる、と語ってくれました。10歳の子どもでさえ、きちんとした知識を身につけていることにとても驚いたことを憶えています。
取材の一つとしておしゃれなマダムのお宅に伺ったときのことです。そこでは、空き瓶をラックに並べる“見せる収納”のような分別方法を拝見しました。オブジェのように並んでいる空き瓶はとても新鮮でしたが、同時に『ゴミを飾っている』ことにも驚きました。でも彼女は「再利用できる大切な資源だもの」とさりげなく語ってくれました。このマダムは、楽しみながらエコを実践している素敵な女性、という感じでしたね。その頃、仙台市でも瓶と缶の分別回収は行われていましたが、私にとっては地域のルールにならった義務的な行為にすぎませんでしたから、同じ分別でも考え方で随分違うものだなと感じました。
この海外取材で出会った人々の言葉が心に響き、環境保全の大切さを実感し、その後、エコの意味や実践に役立つヒントをたくさんの人に伝えたいと思うようになったんです。
海外取材以降、私は折りにふれ環境保全活動を取り上げ紹介してきました。数々の取材を通じてネットワークも広がり、エコ知識が少しずつ増えていった頃です。環境分野の情報を正しく伝えるためには一つの視点からのアプローチではいけないと気づいたんです。例えばリサイクル。廃棄するよりは良いものの、リサイクルのために使われるエネルギー消費量がとても多いので、地球環境全体で考えたら必ずしもいいことではありません。エコを広めたい一心で情報発信してきた私の伝え方は本当に正しいのだろうか、と立ち返り考えました。そして、エコに対するきちんとした方向性や、地球環境に正しいと思われる道筋を探って伝えるためには専門知識が必要だと考え、環境学の習得を目指して東北大学大学院で学ぶことを決意したんです。昨年、在職しながら2年間の修士課程をなんとか無事に修了できました。この研鑽で自分の中に強固な軸ができたことと実感しています。また、得意分野の確立は仕事を続ける上での自信に繋がりました。さらに私の人生を支える力になっていると言っても過言ではありません。
海外取材をした当時では想像も出来ないくらい、現在の日本はエコを実践する人が増えてきています。そんな中、環境保全をもっとポジティブに理解してもらえるように、楽しいことがエコに繋がるようなキャンペーンなどを企画したいと思っています。そして危機感を煽るだけの情報発信ではなく、地球環境や人々の暮らしが少しでも良い方向へ前進するために、培った知識をフル活用して正しいエコを伝えていきたいです。

リンク
(注1)
アメリカ・デービス市
カリフォルニア州にある人口約6万人の都市。行政と市民が一体となり、1970年代からエコロジカルな都市計画を実施することによってエネルギー消費量の大幅な節約に成功。世界的に注目を集めた。全米平均200人に1台と言われる自転車保有率が、同市は平均1人1台。日常移動手段の25%が自転車という点でも有名な地域。
オランダ・アムステルダム市
環境先進国オランダは国土の4分の1が海抜0m以下のため、地球温暖化による海面上昇は人々にとって深刻な問題。国土が平坦なため自転車は伝統的な移動手段だったが、環境問題などを背景に再評価され首都アムステルダム市内では利用率が高まり、自転車専用道路や駐輪場なども整備されている。
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