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山の分校で供される、そばの味。

山の分校で供される、そばの味。

 

山の分校で供される、そばの味。

加藤トキ子さんは『四季の学校』の体験講師“金山28人衆”の一人で、そば打ち達人という肩書きを持つ。会心の出来に思わず顔がほころぶ。

 

山の分校で供される、そばの味。【10月号】谷口がっこそば特製『芋の子汁』/山形・金山

山形県の最東北部にある金山町(かねやままち)は、名産の金山杉を使った切り妻屋根と白壁が印象的な『金山型住宅』で知られる自然豊かな地。この静かな山あいの谷口地区に、週末ごとに他府県ナンバーの車や観光バスが連なる場所がある。それが、かつての小学校分校を利用して営まれている『谷口がっこそば』だ。

「谷口分校の廃校が決まった平成8年に、取り壊すのは忍びないと地元有志たちが町から校舎を借り受けて始めたのが、農業体験教室を行う『四季の学校』です。でも、それだけでは維持管理費を賄えないので“じゃあ母ちゃんたちでそばでもやって少しでも稼ぐか?”となったんです」。そう語るのは、がっこそばを切り盛りする加藤トキ子さん。加藤さんはこの学校で体験講師を務める“金山28人衆”の一人。そば打ち達人という肩書きを持つ。

「私を含め当初集まった6人の母ちゃんたちは、それまでそばを見たこともなければ食べたこともほとんどなかった(笑)。だからそば打ち練習から始めたんです」。そばで地域おこしを手掛ける指導者を東京から招き、見様見真似で初めてのそば打ちに挑むこと数ヶ月。しかし、それぞれの母ちゃんには家の仕事の事情もあり、なかなか思うようには練習の機会が得られなかった。 「最初はとても人様に出せない“見事なそば”でした(笑)。指導者の先生はこのままではダメだと思ったのでしょう。強引に開店する日を決めてみんなにハッパをかけたんですが、その間は地元の協力者の方々にひたすら“練習そば”を食べてもらいました。お客さんに出せる出来ばえに上達するまでには何度も何度もそばを打つわけですから、その都度、美味しくないそばを食べてくれる人の協力が絶対必要なんです」。こうして平成9年に開店したがっこそばは、やがて母ちゃんたちの熟練度が高まるにつれて味に磨きがかかっていく。当初は製粉所から買ったそば粉も、町に掛け合って減反地でそばを栽培してもらうことになり、今では年間で2トンあまりを購入。校舎隣には製粉所も併設し“挽きたて・打ちたて・茹でたて”を実現している。 「そりゃ10年前と今とでは、そばの味は天地ほどの差がありますよ(笑)。でも、なんで10年もやってこられたかを考えると、やっぱり“人”に恵まれたからだと思うんです」。

2本のそば打ち棒を器用に持ち、こねたそばを均一の厚さに伸ばしていく加藤さん。巻いては伸ばしを繰り返しながら、頃合いを見極めていく。

ザルで水が切られ、いよいよ板の器に盛られる“谷口がっこそば”。新そばシーズンとなる今後は“新そばまつり”イベントなども開催される。

 

茹で上げたそばを水で締め、器に盛るまでの作業はまさに時間との闘い。緊張感漂う中での流れるような手際が、そぼの味も香りも逃さない。

開店後の10年間を振り返るとき、加藤さんが想うこととは。

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