「自然の中で、自然との出合いから得るものが大きいと思うんです。それに感謝し、日常の自分の生活の中でも、何か気づくことにつながったら嬉しいですね」。 |
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緩衝地帯(核心部分の周辺)の標高665メートル「津軽森見晴らし台」の頂きから、白神山地の核心部分を望む。その絶景に、思わず心が動かされる。 |
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ブナの下で木漏れ日とそよぐ風を浴びると、今さらながらに人間は自然とともにあることを実感する。めいっぱい深呼吸すれば、その思いが体中を巡る。 |
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苗木を植えていくことの意味。
ブナの苗木の植樹を終えた後、永井さんのガイドで案内されたのは、白神山地の核心部分を望むことができる緩衝地帯(核心部分の周辺)、標高665メートルの「津軽森見晴らし台」。山歩きに慣れない者にとって息が切れる道中では、絶妙の小休止のタイミングで永井さんに解説していただいた。
「“大きいブナだな”と思うもので樹齢は約250年。教科書に出てくる歴史や年表とかじゃなくて、今もこうして生きている木が経験してきた250年間のいろんな出来事が、目の前で現在進行形で継続しているんです。それは、地球の250年の歴史が全部詰まってるということ。だからこそ、歴史を見てきた存在のブナを後世にも残していかなければならない使命を感じますね。そして、これを人工的に増やすのは大変なことなんだということを、ひとりでも多くの人に知ってもらえれば、なぜ1本1本ブナの苗木を植樹しているのかの本質も理解してもらえると信じています」。
普段からわかっているつもりでも、実際に山を歩いて汗をかき、新鮮な空気を吸い込むと、自然そのものの素晴らしさや畏敬の念が現実のものとして強く迫ってくる。そしてたった1回の植樹に参加しただけにも関わらず、明らかに昨日までとは違う自然への感情を抱いていることに気づかされる。植樹の際、ペアを組んだ相手とは、いつしか未来にまつわる壮大な話を交していたりする。これもまた、自然の力なのだ。
「樹齢250年のブナの木は、8トンの水を蓄えるだけの保水能力を持っているんですよ。人間が生きていく上では、当然のように空気と水っていうのはすごく大事なことですが、その循環の仕組みがブナの中にもあるんです。それの尊さに気づいて、例えば家の庭先でもいいからミニトマトを作るとか、普段から生産する生活をすれば、新鮮なものを食べることの大切さもわかるだろうし、ものの生成変化もわかるだろうし、やっぱり自然って大事だとも思うだろうし。木を植えることと同じように、すばらしい循環の結果につながっていくんじゃないかと」。

