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宮城県北東部、岩手県境の唐桑町で牡蠣(かき)養殖業を営みながら、美味しい牡蠣を育てるために山に木を植える「森は海の恋人」運動を展開する畠山重篤さんは、子どもたちが学ぶ教科書にも載っている人物。環境問題に関わる人の間では、その名を知らない人がいないという存在だ。現在、本業の他にも京都大学フィールド科学教育研究センターの社会連携教授という肩書きを持ち、大学をはじめ様々な場所で『森里海連環学*』の重要性を説いている。一見、難しそうに聞こえる学問だが、畠山さんの講演内容はわかりやすく面白い。
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「興味のきっかけとして、語源の話も交えたりします。例えば、オーストラリアに“ストロマトライト”と呼ばれる植物プランクトンの元祖みたいなものを含んだ生物岩があるんですが、模様が縞状に見えるんですよ。調べるとそれがギリシャ語でベッドカバーを意味する“ストローマ”となり、ストライプの語源になっている。話している相手がストライプ柄の服を着ている時にそう説明すると、かなり喜びますよ(笑)」。 |
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「先日、盛岡で行われた岩手県下の栄養士の総会で講演したんです。800名くらいが集まったんですが、中には学校給食に携わっている方もいたので、いま話題になっている食育の大切さを持ち出して“みなさん一人ひとりに子どもたちの未来がかかっています”と、まずは気分良くなってもらってね(笑)。その後に“レバニラ炒め”の話をしたんです。そうすると、題材が身近だから、みなさんの話を聞く姿勢がぐぐっと前向きになる。こうなればしめたもの(笑)。それで、レバーは鉄分が豊富で元気な血を作る。同様に、腐葉土が堆積した広葉樹の森に降った雨は、鉄分や養分を含んだきれいな川の流れとなって海に注ぎ、それが美味しい牡蠣や海産物を育てることにつながる。人間の体内も地球環境も同じなんですよと、こう説明していくわけです。そりゃ理解とか納得の度合いが違いますよ」。 一度でも畠山さんの話を伺ったり著書を読んだりした方には周知のことだが、畠山さんにかかると難解な学問がとても身近なものとして興味深く捉えることができる。それは何より“海”での実体験がもとになっているからで、さらに畠山さんらしい“生活者視点”が加えられているからだ。 「いきなり難しい話から入っても積極的に聞いてもらえないでしょ。聞いてもらえなければ環境問題も、自分たちの現実的な話として受け入れられないから意味がない。だから“地球環境のためには鉄が重要だ”“鉄が地球温暖化の特効薬になる”ってだけじゃなく、栄養士さんの集まりであれば、レバーだ鉄分だと、生活者レベルの話にしていくんです。そうすれば“つながっているんだなあ”と考えてもらうきっかけになる。どんな仕事をしてたって、もちろん子どもだって、みんな生活者なんですから」。 牡蠣の話、植林の話、環境の話。そのどれであっても、畠山さんはずっと“鉄”の重要性を啓蒙し続けている。その根源はどこにあるのだろうか。 |
室根山(むろねさん)より気仙沼湾を望む。平成元年(1989年)、畠山さんが中心となって始まった『森は海の恋人』運動。ちなみにこのネーミングは、かつて大川中流域に生家のある歌人・熊谷武雄氏を研究した畠山さんが、熊谷武雄氏の孫の龍子さんに相談した時に贈られた歌「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」によるものだ。 |
■森里海連環学 |

畠山さんが操縦する漁船で牡蠣の養殖筏まで案内して頂き、
筏の上での作業や牡蠣の引き上げ作業等を見学しました。
筏の数の多さが海の豊かさを物語っている
舞根湾の貝浜漁場の様子を映像でご覧頂けます。
映像をご覧になるには、再生ボタンをクリックしてください。